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なぜ今、日本の医療を世界の患者さんに開くのか
医療を受ける場所を選ぶことは、人生を託す場所を選ぶことです。そして私たちは、自信を持って申し上げます。日本の医療は、世界の患者さんに選ばれるに値する医療です。
海外で医療を受けるという決断は、単に治療技術の高い国や医療機関を探すことではありません。患者さんにとってそれは、自分の健康と人生、そしてご家族の安心を、どこに託すのかを決めることです。だからこそ私たちは、その大切な決断の先に、日本の医療という確かな選択肢があることを、一人でも多くの患者さんに知っていただきたいと願っています。
私はこれまで医師としてグローバルヘルスの研究と実践の現場に立ち続けてきました。そこで痛感したのは、医療の質が高いだけでは、人は安心して受診できないという現実です。情報がわかりにくい、受入れ体制が見えない、費用や流れが不透明である――それだけで、必要な医療への一歩を踏み出せなくなる人が、確かに存在します。
だからこそ重要なのは、「優れた医療がある」というファクトだけではありません。その医療に信頼をもって到達できる仕組みがあるかどうかです。
技術だけではない。世界に誇る「制度としての信頼」
精密な検査や治療技術、安全性を重んじる姿勢、丁寧な説明と同意の積み重ね、多職種が連携する医療提供体制。そして患者さんを一人の人として尊重する文化。これらが積み重なって、日本の医療は世界でも類を見ない厚みのある信頼が形づくられてきました。
その象徴が病院機能評価です。これは、医療機関の組織的な活動を第三者として評価する、日本が政策主導で整備してきた枠組みです。評価を行う公益財団法人日本医療機能評価機構(JCQHC)は、ISQua(国際医療の質学会)の国際認定を取得しています。これは、海外の患者さんが日本の医療機関を判断する際の、確かな根拠になります。
しかし、質の高い医療があるだけでは足りません。海外の患者さんを受け入れるには、適切な基準、運用、そして説明責任が必要です。私たちMedical Excellence JAPAN(MEJ)は、まさにその海外患者さんの受け入れ態勢の審査・認証を担っています。日本の医療の価値が、患者さんにとって実際の安心につながるよう、制度面から支える。それが私たちの役割です。
MEJの役割は、日本の医療への信頼できる入口を整えること
海外の患者さんから見れば、日本の医療は決して分かりやすいものではありません。どの医療機関を選べばよいのか、どの診療科が適切なのか、言語対応は十分か、受診後のフォローはどうなるのか。医療の水準がどれほど高くても、入口が見えなければ、不安は消えません。
だからこそMEJは、受け入れ体制が整っている医療機関を「見える化」することを重視してきました。その中核が Japan International Hospital(JIH) の枠組みであり、本情報ポータル Japan International Healthcare では、厳格な審査を経てJIHとして認証された医療機関が掲載されています。
JIHの審査は決して形式的なものではありません。原則として渡航受診者の受入実績があることを前提に、書面調査と現地訪問調査を実施し、有識者で構成される評価委員会が推奨の可否を判定します。推奨は3年間の更新制。継続して患者さんを迎えられる医療機関だけが、認証リストに残り続けます。
審査で確認するのは、多言語対応、院内調整、医療通訳、宗教や習慣への配慮、費用の透明性、急変時の対応まで含めた「国際患者受入れの実装力」です。この認証を通じて、MEJは患者さんが安心して選べる医療機関の質と安全を、確かに保証しています。
MEJ――政府と医療現場、企業をつなぐハブとして
MEJは、日本の成長戦略の柱の一つである「健康・医療の国際展開の推進」を担う中核的組織として、経済産業省の支援のもとで活動を開始した一般社団法人です。私たちの立ち位置は、政府、医療機関、企業、そして学会をつなぐハブです。日本では、経済産業省をはじめ、内閣官房、厚生労働省、外務省、観光庁などの政府機関、医療機器・医療サービスを担う企業、そして日本全国の医療機関が同じテーブルにつき、医療の国際展開を具体化していく。そのための官民連携プラットフォームとして機能しています。
海外ではアジア諸国を中心に、医療連携を各国とともに組み立ててきました。タイ、インド、ベトナムでは、それぞれの関係機関と連携の枠組みを設け、医療機関同士の交流、人材育成、医療機器やサービスの展開、そして患者さんの受入れまでを一体的に進めています。
海外患者さんの受入れは、日本が一方的に医療を提供する関係ではありません。相手国の医療水準の更なる向上、互いの強みを持ち寄れるようになってはじめて、この関係は持続します。MEJは、その長い目で見た関係づくりを、政府と現場の間に立ちながら担っています。
情報ポータル「Japan International Healthcare」のミッション
MEJが大切にしているのは、中立性と公共性です。特定の医療機関をハイライトするためではなく、日本の医療全体への信頼を醸成するために、一貫した基準のもとで医療機関の受入れ環境を評価し、適切に伝える。それが私たちの立場です。
海外の患者さんが日本の医療に関心を持ったとき、最初に必要なのは、誇張された宣伝ではなく、信頼できる、整理された情報です。
- 紹介されている医療機関がどのような基準をクリアしているのか
- どのような支援体制があるのか
- 受診を考える際に、何を確認しておくべきなのか
- 日本で医療を受けることには、どのような特徴や留意点があるのか
患者さんは、病気や不調を抱えながら情報収集をしています。ご家族もまた、不安の中で意思決定を支えています。だからこそ、このサイトは、単なる案内ページではなく、患者さんが落ち着いて判断するための接点でなければならないと、私たちは考えています。
日本での治療を考える患者さんへ
日本の医療には、世界に貢献できる力があります。 そして、その扉は、今、世界の患者さんに向けて開かれています。
本サイトは、その医療に迷わずアクセスしていただくための案内役です。もし日本での受診を検討されているのであれば、不安を抱えたまま判断するのではなく、まず信頼できる情報から出発していただきたいと思います。患者さんとご家族が納得して選べる環境を整えること。それこそが、国際医療におけるもっとも重要な責任のひとつだと、私たちは考えています。
日本の医療を、世界のどこからでも安心して選べる場所に。そして、世界中の患者さんにとって、迷ったときに真っ先に思い浮かぶ選択肢に――それが、私たちの約束です。
略歴
渋谷健司 (しぶや けんじ)
1999年 米国ハーバード大学公衆衛生学博士号取得
2001年 世界保健機関(WHO)コーディネーター
2008年 東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学教室 教授
2019年 英国キングス・カレッジ・ロンドン教授、世界保健機関(WHO)事務局長シニアアドバイザー
2021年 相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長
東京財団政策研究所 研究主幹
2023年 一般社団法人Medical Excellence JAPAN専務理事就任
2023年 一般社団法人Medical Excellence JAPAN理事長(現任)